鈴木芭蕉布工房【BASHOUFU】
「芭蕉の木」は、実は木ではなく大型の多年草で、まるで木のように立ち上がるこの茎にこそ、強くしなやかな繊維が隠れています。これが芭蕉布の原料になります。
その茎から、芭蕉布の糸のもとになる繊維を取り出して糸にし、そして織り物にしていくわけですが、その行程は驚くほど多岐にわたります。そのすべてがひとりの手作業によって生み出されていきます。
日本を代表する料理人、レフェルヴェソンスの生江史伸シェフが、鹿児島県枕崎の鰹節職人の瀬崎祐介氏についてのコメントで言っていました。
「現在はマイナーな素材になっているかも知れないが、文化を継いでいく、伝統を守っていくという時代の正統性がある。もしこういう(手間のかかる丁寧な)ものが無くなってしまうのであれば、私たちの文化が間違った方向にいっていることを暗示してくれているようなヒントがあるのではないか」
鈴木隆太さんと初めてお会いしたのは、2019年11月でした。きっかけはスペインから来ていた写真家Joan Tomasが「織り物を見たい」と言ったことでした。
長い時間をかけて糸芭蕉が織り物になっていく様子、そしてそれに向かい続ける隆太さんの姿を取材させてもらいたいと思い、撮影がスタートすることになりましたが、COVID-19の影響があり、2020年の5月まで中断期間が出てしまいました。
個人的に撮影を進めているなかで、「宜野座村文化のまちづくり事業実行委員会」からお声かけをいただき今回、ギュッと8分弱で映像を出すことになりました。
音楽は、沖縄市在住の犬塚拓一郎氏(inuZucca)が率いるsynsekaiと、わたしの故郷宮古島の友人である高江洲ゆきこ氏に担当していただきました。題字にした「紡」は村内の漁師であり音楽家でもある仲栄真三七十氏にお願いをして書いていただきました。
ジャンルを超えて面白いひとが集まると、何か面白いことが起こるのではないか。その場をセットすることがわたしのライフワークのひとつです。映像にこだわらず今後も続けていきたいと思っています。ご覧くださりありがとうございました。
2021年2月
座喜味 優(Yu Zakimi)
cast : 鈴木隆太(Ryuta Suzuki)
title calligraphy : 仲栄真三七十(Minato Nakaema)
sound track 1 : synsekai as team inuZucca
sound track 2 : 高江洲ゆきこ(Yukiko Takaesu) from ningin shoten
camera, sound, and edit : 座喜味優(Yu Zakimi)
direction : 座喜味優(Yu Zakimi)
inspired by Joan Tomas