演劇『オジイチャンの物語』
2022年2月26日ハワイ沖縄県系2世の作家、ジョン・シロタ氏の小説を舞台化し、上演しました。
ジョンさんのご両親は宜野座村出身。後に移民労働者としてハワイへ渡りました。ジョンさんは自らのルーツである沖縄を題材に、移民や戦争、基地問題をめぐる人間模様や葛藤などを書いた小説や戯曲を数多く残しています。
1965年に執筆した「ラッキィ・カム・ハワイ」を戯曲化した作品は、90年にジョン・F・ケネディ・センター賞を受賞。
沖縄系・日系アメリカ文学の先駆者として注目されました。
今回舞台化した『オジイチャンの物語』は、現代に生きる大学生・レイコが祖父から託された手紙を紐解くところから始まります。
伊江島出身の祖父・ケンイチは沖縄戦に参加し、米軍に捕虜として捕らえられます。
そこで、出会ったのは同じ沖縄出身の日本兵や、親切な医療兵。そして、ハワイ沖縄県系2世の米軍通信兵でした。
米国の従軍記者、アーニー・パイルの存在も物語に大きく影響していきます。
ウチナンチュの血が流れているのに、米軍として日本兵と戦う通信兵に憤るケイイチ。
当時、移民2世が感じたであろう複雑な葛藤が非常にリアルに描かれています。
ケンイチは様々な人との交流の中で、アメリカという国への認識を変化させていきますが、そのために導き出された真実に彼は衝撃を受けます。
消すことのできない罪に苦しみながらも、ケンイチは孫娘のレイコに手紙という形で思いをつなげるのです。
日本兵、米軍という二色しかないように見えても、実際には様々なルーツを持つ人々がいる。
もしかしたら銃を構えたその相手は、遠い昔の隣人かもしれない。
国と国が争う戦争の中でも、個人と個人が向き合えばお互いを理解することができる。
『オジイチャンの物語』は戦争の無慈悲さだけではなく、人間が持つ力強さと未来への希望を感じさせてくれる作品です。
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【タイトル】演劇『オジイチャンの物語』
【日にち】2022年2月26日(土)
【時間】 13:00開演 / 18:00開演
【料金】一般2,000円(当日2,500円)
高校生以下1,000円(当日1,500円)
※全席自由 ※限定200名
【主催】宜野座村文化のまちづくり事業実行委員会
【協力】宜野座村
原 作 ジョン・シロタ
脚本・演出 新井章仁(劇団ビーチロック)
制作統括 小越友也(がらまんホール)
■あらすじ
大学生のレイコは、留学生のクリス(ハワイ沖縄4世)を連れて、久しぶりに伊江島にやってきた。
レイコの幼少期の思い出といえば、2年間伊江島で暮らしたこと。
当時、元気だったオジイチャンは昨年亡くなったが
そのオジイチャンと一緒に伊江島内の「アーニー・パイルの広場」によく行ったことを思い出す。
伊江島はレイコの母の出身地であり、現在、おばあちゃんが住んでいる。
そこでレイコは、オジイチャンの遺した手紙を受け取る。
レイコとクリスは手紙を読み進める。
そこにはオジイチャンがこれまで語ることのなかった沖縄戦の記憶が……
日本陸軍での伊江島の戦闘。
捕虜収容所での暮らし。
日系アメリカ兵との友情・対立。
手作りのカンカラ三線。
なぜ、オジイチャンが「アーニー・パイル」の墓守になったのか?
クリスが持っている「木彫りの猫」とオジイチャンのつながり。
そして、オジイチャンが知った、自身の宿命とは?
沖縄出身の日本兵や沖縄2世のアメリカ兵、多角的な視点で沖縄戦を見つめ、世代をつなぐ物語。
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